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出典
- 元URL: http://www.fullcast.co.jp/cv/interview_02_05.html(リンク切れ)
- 情報参照元: WebArchiveによる保管済みウェブページ
CAST VOICE 第三声: 「音楽で救われてきたから、音楽で救いたい。」(2006年)
意外なことに、デビューしてからの方が苦労は多いというKOKIAさん。プロのミュージシャンとして「すべき」こと。アーティストとして「したい」こと。2つのバランスをとることが、難しいそうです。
— 自分の世界だけで生きるアーティストではなく、世の中に出るものをやりたいんですよね。コミュニケーションしたいというか…。
KOKIA: う~ん…それを語るのは難しいな。でも人間の欲だと思うけど、一人でも私の歌を聴いてくれる人がいたら、歌い続けますって、ライブでいつも言うのね。
— それは、本心からですよね。
逆に返すと、一人でも多くの人が聴いてくれるなら、なんでもしたいと思うんです。
— なるほど。
自分はものすごく伝えたいし、聴いて欲しいし、表現したい人なんです。じゃあ、たくさんの人に聴いてもらうにはどうしたらいいか?それが私にとっての仕事なんですよね。
— あー。
タイアップすることで、たくさんの人が聴いてくれるんだったら、入口はそれでもいい。核になるもの、自分の気持ちとか伝えたいことは変えずに、入口は多く持ちたい。
— それは音楽だけに限らない。
例えば、エッセイを頼まれるとしますよね。文章でKOKIAのことを知りました、歌う人だって知りませんでした。でも、その文を読んでいいなと思って、私の音楽を聴いてくれたら、しめしめ…と言うかラッキーだし。
— このフリーペーパーに出ることも?
あ、こんな人いるんだーって、KOKIAのことを初めて知ってくれて、私の音楽をいつか聴いてくれるようになったら…。私は唄を歌うことを真剣にやるのは当たり前で、それについてくるオプションといったら変だけど、歌以外のことの方を一生懸命やってます
— 全部引き受けている。
引き受けるというか、がんばる。色々なミュージシャンがいて、自分のために歌ってる人もいるし、有名になりたくて歌ってる人もいる。私はやっぱり伝えたいことがあるから歌っている。だから、伝えないと意味がないんですよね。
— 先ほどの、音楽で救われたエピソードとつながりますね。
私自身、小さい頃から音楽に助けられてきたシーンがいっぱいあるし。嘘のようだけど、KOKIAさんの歌を聴いて病気が治りました、こもりがちだった娘が、家から出るようになりました、とか…そういう話を聴くと、歌っていてよかったと思う。
— ファンの言葉ひとつひとつが力になるんですね。
よーく聞く言葉だけど。ファンの人が支えになりました、とかね。あれね、ほんとうなんですよ。仕事でイヤなことがあっても、ファンレター一通読むだけで、やっぱりがんばらないと、と思うんです。ファンの人には、どれだけ救われたか。
— そのリアルさって、本人以外はよく分からない。ほんとかよ?みたいな。
でも、正面切って言えるよ、ファンの人がいるから今日もがんばれるって。
落ち込んだ時は、映画を観たり犬と遊ぶというKOKIAさん。それでも最後に帰ってくるのは、やはり音楽。
KOKIA: イライラすることもあるけど、仕方ないことばかりだから。それをまた、音楽にしたためたりします。何時間もピアノを弾いて発散しますね。なぜピアノを始めたかというと、鍵っ子だったんです。家に帰ると、誰もいない部屋にピアノだけがいるんですよね。”いる”という言い方をあえてするけど、ピアノが私を見ていてくれた。語りかけると語り返してくれた。
— そんな存在だったんですね。
悲しい時もピアノ弾いたし、嬉しい時もピアノ弾いた。学校から帰ってきて、お母さんに話を聞いてもらうように、「ねぇねぇ聞いて」と言いながらピアノ弾いてる子だったんです。わりとこう…空想の世界を旅してた、ピアノを弾きながら。
「音楽の力を本気で信じている。」
いつもそばに音楽があったKOKIAさん。音楽に救われてきた彼女は、音楽で人を救うことが夢だと言います。でもそのために、傷付くことも多いとか。
KOKIA: これから、いいライブをして、もっとたくさんの人に聴いてもらって、もっともっと影響力のある仕事をしたいですね。エンターテインメントは、必ず表に立つ人がいて、世界に対してすごく影響力を持つ存在になっていく。最終的に行くところまで行くと、ボランティアやチャリティーコンサートになると思う。そのためには、影響力を持てるアーティストになりたい。
— それが夢。
音楽のない国や生活を送っている人たちに、音楽を届けたい。KOKIAよくキレイゴト言うから、キレイゴトだけだってバッシングされるんですけど。
— え?
ほら、ネットにいろいろ書いてあるじゃないですか。「KOKIAさんが歌で愛を伝えたいと言っても、飯は食えねぇ」みたいな感じで。だけど、じゃあさ、みんな同じ条件でお米もない、お金もない。明日死んじゃうっていう時に、パン食べるのかな?私だったら歌いたいなぁ。心の貧しさって、いくらでも回避できる。お金の貧しさは、現実的な問題があって、いいようにならないかもしれないけど。せめて心に、少しでも豊かな空間を作ってあげたい。
— うんうん。
でも、その空間すら作れない人たちがいるということは、また違う話になると思うの。私たちは音楽を聴いたり、歌ったり、創ったりして、一緒にいるんだから、音楽を通じてできることはいっぱいある。そう信じてる。
ネットで傷つきそのたび悲しむというKOKIAさん。でも、それだけ影響力を持てるようになったとも思うそうです。そんな彼女の夢、応援したくなりますよね。
(第四声へ、つづきます!)